現道の拡幅工事や舗装修繕、水道管埋設工事を発注したときは、現道の通行規制がつきものです。
でも、発注者として路上工事を行うときに必要な手続きが多くて、正直わかりにくいですよね。
ここでは、公共工事の発注者として知っておくべき、道路使用許可について、わかりやすくポイントをしぼって解説します。
道路使用許可とは?
道路は本来、人やモノの移動・経済活動等の空間としての役割があります。
そのため、交通の妨害になるような行為は道路交通法第76条で一般に禁止されていますが、一定の要件を備えていれば、その禁止が解除されますよというのが道路使用許可です。
なお、道路使用許可は、道路交通法第77条に定められています。
それでは、どんな時に申請がいるのか、誰がどこに申請すればいいのか、必要な書類は何かくわしく解説していきます。
どんな時に申請がいるの?
公共工事の発注者としては、主に道路において、 現道の拡幅工事や舗装修繕、水道管埋設工事などの工事を行うとするときに申請が必要となります。
ここでの道路とは、国道や都道府県道などの道路法上の道路でなく、私道も含まれます。
道路交通法
第七十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行為に係る場所を管轄する警察署長(以下この節において「所轄警察署長」という。)の許可(当該行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する二以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの所轄警察署長の許可。以下この節において同じ。)を受けなければならない。
一 道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人
二 道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする者
三 場所を移動しないで、道路に露店、屋台店その他これらに類する店を出そうとする者
四 前各号に掲げるもののほか、道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為で、公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたものをしようとする者
出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
誰がどこに申請するの?
公共工事の場合、申請は道路において工事を請け負ったもの、つまり元請業者が行うことが一般的です。
申請先は、当該道路を所管する警察署になります。私の経験では、交通規制担当課が窓口になっています。
所管警察署を知りたい場合は、各都道府県警のHPに管轄図などが載っていますので確認してください。
ただし、発注者が道路管理者であって、自らが管理する道路を使用する場合は、道路交通法第80条により道路管理者が所轄警察署と協議をする必要があります。
必要書類はなに?
道路使用許可申請書および添付書類(2部)を提出します。
道路使用許可申請書に記載する内容
- 申請者の住所および氏名(申請者が法人の場合は、その名称および代表者の氏名)
- 道路使用の目的
- 道路使用の場所または区間
- 道路使用の期間
- 道路使用の方法または形態
- 現場責任者の住所および氏名
添付書類に記載する内容
- 道路使用の場所又は区間の付近の見取図
- 路上工事の内容(保安図など)
- その他、申請書に記載する事項を補足するために公安委員会が必要と認めて定めた書類
この辺りは、所管する警察署の運用によって異なりますので、担当窓口に相談してください。
監督員がチェックすべきこととは?
ここでは、発注者側の監督員が確認すべきことを説明していきます。
道路利用者が安全に通行できるか
申請は請負業者が行うからと言っても、規制計画を業者任せにしていけません。
規制の区間が必要最低限となっているか、案内標識がの位置や内容が適切であるか、子供の通学路に指定されていないかなど道路利用者が安全に通行できるかという視点で確認を行わなければいけません。
現場看板に掲示してあるか
道路使用許可証は、現場工事看板に掲示しておくことが望ましいです。
許可の際の指示事項として、警察に求められた場合に提示する責任があるからです。
現場に行った際は、ぜひ工事看板をチェックしてもらって、もし許可を受けているはずなのに掲示されていない場合は「あれ?許可証は掲示していないんですか?」と聞いてみるといいですね。
許可期限を超過していないか
許可には期間があります。
道路工事(1号許可)の場合は、私の地区だと3か月ですので、3か月超の工期の場合は、3か月ごとに再度申請をする必要があります。
監督員として、許可期限が近付いたらしっかり指導しましょう。
更新しなかった場合、道路法第119条第1項により、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処される可能性がありますので、注意しましょう。
おわりに
今回は、道路使用許可について解説しました。
道路使用許可は、路上で工事や交通規制をする際に施工業者が行うべき手続きですが、発注者の監督員としても、公共の利益のためには、把握しておくべきでしょう。
交通規制計画は、施工業者任せにしないで発注者の視点を加えることで、もっといいものになりますので、積極的に打ち合わせをしましょう。
だって、現場環境を一番知っているのは発注者ですからね。
以上、これまで!!