工事を発注して、その工事が他の道路管理者の道路の構造を変更したりする場合は、どんな手続きが必要でしょうか。
道路関連の手続きは、たくさんあるのでややこしいですよね。
ここでは、公共事業の発注者として知っておくべき、道路承認工事申請についてわかりやすくポイントをしぼって解説します。
道路承認工事申請とは?
道路施設について、道路管理者以外の者が自らの必要性に基づいて、道路に関する工事を行う場合に、道路管理者から受ける承認のことです。
道路承認工事申請は、道路法第24条に規定されいます。
それでは、「どんな時に申請がいるのか」、「誰がどこに申請するのか」、「必要な書類は何か」をくわしく解説していきます。
道路法
(道路管理者以外の者の行う工事)
第二十四条 道路管理者以外の者は、第十二条、第十三条第三項、第十七条第四項若しくは第六項から第八項まで、第十九条から第二十二条の二まで、第四十八条の十九第一項又は第四十八条の二十二第一項の規定による場合のほか、道路に関する工事の設計及び実施計画について道路管理者の承認を受けて道路に関する工事又は道路の維持を行うことができる。ただし、道路の維持で政令で定める軽易なものについては、道路管理者の承認を受けることを要しない。
出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
どんな時に必要なの?
道路管理以外の者が、道路に関する工事又は道路の維持を行う場合に必要となります。(道路管理者が行う場合については後述します)
具体的に、一般的なものは、沿道から道路への乗り入れのための歩道の切下げ工事だと思います。沿道開発が行われる場合、必ずと言ってもいいほどこの申請が行われています。
公共工事でも同様に、公共施設(公営公園、排水機場など)を沿道に建設し、乗り入れを設置する場合は、この申請が必要になります。
そのほか具体例を列挙します。
- 法面の埋め立て、切り取り
- 歩道の切り下げ(出入口の設置)
- ガードレールの撤去
- 舗装、L字型側溝の復旧及び新設
- 床版橋架設に伴う道路構造物(路側コンクリート、擁壁、舗装)の改築
- 道路への取り付け
誰がどこに申請するの?
公共工事の場合は、道路に関するよう工事をしようとするもの、すなわち発注者が申請者になります。
申請先は、当該道路を管理する道路管理者(国、県、市等)です。例えば、市道であれば、市役所の土木事務所の道路管理担当課が窓口になります。
必要な書類は?
以下の資料を2部作成します。必要な書類は工事の内容によって多少異なりますが、歩道の切り下げを行う場合、以下の書類が必要となります。
- 道路工事施工承認申請書
- 位置図(縮尺1:25000程度)
- 平面図(縮尺1:500、1:1000程度)
- 断面図(現道との取り合わせ部分の状況等がわかるもの)
- 構造図(工作物の形状、舗装構成などを明示)
- 同意書・承諾書(利害関係が生じる第3者と調整が必要な場合(例:第三者の所有地の地先で切り下げ工事を実施する場合など))
管理者によって、多少異なると思いますので、事前の打ち合わせを行うことをおすすめします。
また、道路工事施工承認申請書には、以下の事項を記載する必要があります。
- 路線名
- 施工の目的
- 施工の場所
- 物件の構造
- 施工面積
- 施工の方法(請負者等)
- 工事の期間
申請様式は、当該工事を実施する道路管理者のHPにたいていあります。その様式を埋めてもらえば、上記の内容がカバーできるようになっているはずです。
発注者が知っておくべきポイント
ここでは、発注者が知っておくべきポイントを3つ説明します。
他の道路管理者であれば申請しなくてもよい
よく間違えられるですが、道路法24条では、「道路管理者以外の者」とあるので、あなたが他の道路管理者(市道工事を行う県道の道路管理者など)の場合は、申請をする必要がありません。
これは、道路管理者は他の道路管理者と調整を図ることが当然であるという前提があるからです。
実は、わたしはこれを知らずに申請を行ったことがあります(それを受理する方も知らなかったんでしょうね)
とはいえ、事前に調整は必要だと思います。管理者によっては別途様式での報告を指導される可能性がありますよ。
道路承認工事申請と道路占用申請の違い
一言でいうと、当該道路の道路管理者にとって必要な施設を設置する工事であるかによって異なります。
- 道路承認工事(道路法第24条):道路管理者として必要な施設
- 道路占用(道路法第32条):道路管理者として必要でない施設
必要な施設とは、道路利用者がその施設を平等に利用できるかによって判断されます。歩道の乗入れであれば、切り下げた縁石や舗装は、道路として必要ですよね。
一方で、埋設された水道管は、水道の利用者にとっては必要でも、道路利用者にとっては全く必要のない施設です。この場合は、道路占用に当たります。
また、水道管の埋設と、道路構造物の改築が同時行われる場合は、両方の申請が必要な場合もあります。
なお、工事完成後の施設に管理は、道路承認工事においては道路管理者が行いますし、道路占用工事においては、申請者が行います。
道路使用許可が必要な時もある
道路承認工事で行う行為が、道路使用許可(道路交通法第77条)に該当する場合は、別途、当該道路を所管する警察署の許可が必要です。
道路承認工事工事は道路管理者へ、道路使用許可は警察へ忘れずに申請しましょう。
道路使用許可について、別に記事でわかりやすく解説しています。
おわりに
いかがでしたか?
今回は、道路承認工事申請について、わかりやすく解説しました。
道路承認工事は、道路の構造物の形状を変更したりする場合に、道路管理者の許可を受けるものです。
許可には、数日間の日数が必要ですので、余裕をもって行うようにしましょう。
また、わかりにくい道路占用との違いについては、道路管理者と必要な施設であるかどうかどうかですので、間違えずに申請を行いましょう。
以上、これまで!